博士後期課程に在籍している社会人大学院生です。戈木先生による集中講義(ゼミ形式)を2回受講させていただいたことがあります。

博士論文では、不妊治療後の夫婦と胎児に関する研究をしたいと考えており、分析方法をストラウス版GTAとして研究計画書を作成しました。

ある指導者から、概念枠組みを作成したうえで研究を行なう必要があるのではないか、というコメントをいただきました。

そこでご質問ですが、質的研究はまだ明らかにされていない未知のことを明らかにすることに適した研究方法と言われていることから、事前に概念枠組みを作成することは計画しておりませんでした。

概念枠組みを作成した場合、その枠組みに縛られてしまうことはないか?と心配なのですが、質的研究と概念枠組みの考え方についてご教示いただけますでしょうか。お忙しいところ恐縮いたしますが、よろしくお願いいたします。
<まろんさん(大学院生)>
インターナショナル ナーシング レビュー誌での2年間にわたる連載内容と、このブログのQ&Aをまとめた本ができあがりました!

書籍化にあたって、読者がより学びやすくなるように、戈木クレイグヒル滋子先生と分析メンバーのみなさんが、心を込めてすべての内容をブラッシュアップ。

初心者はもちろん、グラウンデッド・セオリー・アプローチの独学に取り組むあらゆる方に読んでいただける、データ資料をふんだんに盛り込んだ最強のワークブックが出来上がりました! ぜひ一度、書店で手にとってみていただければ幸いです。

連載の終了にあたって

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INRの連載もついに最終回を迎えました.この連載では,実際のデータを使ってグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)の分析方法を学んでいただきましたが,いかがだったでしょうか.


GTAを特別な物だと考える人は少なくありませんが,果たしてそうでしょうか?『研究』であれば,データから概念を抽出する作業は不可欠です.GTAが他の質的研究法と違う点は,概念抽出と関係づけの緻密さが他の方法以上に重視され,そこに到達するための道筋が明示されているということだけです.どうぞ,GTAに親しんで,どんどん使って頂きたいと思います.


たまたま,この7月にJuliet Corbin先生が来日され,慶應義塾大学でも少人数に限った講演会と,ワークショップを開催させて頂くことができました.連載の最終号を書いている時期にこのようなイベントを主催できたのもなにかの巡り合わせのように思われます.


さて,2年間にわたる連載の間,連載とブログ管理がスムーズにおこなえたのは,ひとえにゼミのメンバーのチームワークと,ブログをこまめにチエックしてくださった編集部の村上さん(Mr.M)のおかげです.感謝いたします.


ブログに質問を下さったみなさまにも感謝いたします.全く異なる領域やビジネスの第一線で働く方々からの連絡には驚きましたが,同時に大きな刺激を頂きました.


年末には,この連載をまとめた本も出版されますので,今は校正で汗だくです.私がこれまでに出版したものと,この本との違いは,ワークブックとしての効力を発揮できるように練習問題を増やし,分析プロセスの全容が見えやすくなるような工夫をしたことにあります.そのために,表や図をふんだんに盛り込み,どう分析したのかという経過が分かるようにしました.連載をもとにしたものではありますが,より使いやすいものに仕上がったはずです.ぜひ,書店で手にとって頂きたいと思います.


さいごに,ブログはまだしばらく続きますので,練習問題を使った学習で疑問が生じたら,ぜひ質問してください.ゼミ生と一緒に,みなさまのとの討論を楽しませていただきたいと思います.


2010年神無月

戈木クレイグヒル 滋子

インターナショナル ナーシング レビュー誌の連載 「実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチ:現象を捉えるステップ」 第8回目掲載誌(Vol.33 No.5 : 148号)がそろそろ店頭に並びます。最終回のテーマは「カテゴリー関連図の統合と次のデータ収集に向けてのサンプリング」です。現象ごとのカテゴリー関連統合図と理論的比較、それらをもとにした理論的サンプリングについて解説しています。

誌面で掲載しきれなかった関連資料の表1はここからダウンロードして下さい(PDF)。

なお、今号では特別企画として7月に来日されたジュリエット・コービン氏の東京での講演原稿とワークショップの模様をお伝えしています(p.64)。ぜひ合わせてお読みください。
インターナショナル ナーシング レビュー誌の連載 「実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチ:現象を捉えるステップ」 第7回目がいま印刷中です(通巻147号 第33巻4号 p.72-83、2010.7.1発売)

テーマは「理論化を促進するためのテクニック」です。データ分析の長い過程のなかで、自身のバイアスを減らし、データの文脈に縛られず、多角的に眺めて分析の抽象度を挙げていく作業はそれほど容易なものではありません。

そこで今回はこの作業に取り組むためのテクニック、すなわち、メモを書きながら、問いをたて、比較をするという3つのステップについて学びます。
音楽教育学の博士後期課程の学生です。グラウンデッド・セオリー・アプローチは私たちの領域にはまだ浸透していませんが、技能の習得において、その学習過程に存在する環境や他者との相互作用を解明するためにはこのような方法論に基づいて分析を進めていくことが必要だと考え、独学で本から学んでいます。

先生の著書を読み、「問いを立てる」というテクニックが気になりました。展開力がありそうなのですが、いまひとつ具体的にどう活用するのかがわかりませんので、質問させて下さい。

どんなふうに問いを立てれば良いのでしょうか? また、「問いを立てる」ことが、プロパティやディメンションを増やすのに役立つというのはわかるのですが、他にどのように分析に役立つのでしょうか?
<Oさん(音楽研究科博士後期課程)>
Oと申します。カリフォルニアの大学で学んでおり、現在修士論文の執筆中です。テーマは、大学のアカデミックカウンセラーのキャリア形成において求められるスキルは何か? を分析しています。

指導教授は、特に研究法自体にはこだわっておらず、「質的研究」ならばどのようなものでもかまわないとおっしゃるのですが(極論すれば、データを切り貼りして自分なりの分析をしたものでも)、私としては、理論化とまではいかなくとも、この研究の成果を1つのモデル、フレームワークとして完成させて、今後の日本での議論を行っていく上での土台となれればと考えています。

そこで、グラウンデット・セオリーについて書籍を読み、戈木クレイグヒル滋子先生の著作も数冊拝読し、手順そのものについては、少し理解したのですが、ここで根本的な問題に直面しています。

というのは、私の研究は、最終的にモデルとして理論化を目指していますが、ある特定の現象を分析するものではないということです。たとえば、先生の著書にありますように、「子供の死に直面した小児科の看護師に起こっていること」といった一現象ではなく、ある程度の期間にわたる業務経験の中で被インタビュー者が行ったことや・必要と感じていることを探っていくものです。インタビューデータの一部は現象となる可能性はありますが、全体としてはむしろライフヒストリーにちかいものになりそうです。

そのため、ラベル化からカテゴリー、サブカテゴリーにまとめ、セオリーとしていく過程には非常に興味があり、心が惹かれるものがあるのですが、その反面、私の研究にあっているのか悩んでいます。

現状ではインタビューは多くて12名ほどにとどまる見込みです。今回修士であることや、今後博士課程でもっと突き詰めていきたいと希望していますので、今回は、この手法を利用して自分なりに研究すること、を目標としています。

そこで伺いたいのですが、グラウンデットセオリーは、あくまで現象を捉えるものにしか適さないであって、この研究法の利用はそもそも無理があることでしょうか? また応用可能でしたら、どのような適用方法があるのかご教示いただけないでしょうか? お忙しい中大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
<Oさん(大学院生)より>
インターナショナル ナーシング レビュー誌の連載 「実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチ:現象を捉えるステップ」 第6回目のテーマは「カテゴリー関連図とストーリーライン」 です(通巻145号 第33巻2号 p.66-74、4月1日刊行)今回はカテゴリー関連図を描く作業と、それをもとにしてストーリーラインを書き、カテゴリー関連図に示した概念(カテゴリー)同士の関係づけが適切かどうかを確認する作業を実践的に学びます(※今回はブログのページから閲覧していただくデータはありません)。

「看護師が患者の治療選択にどのように関わっているのか」という研究テーマで、看護師を対象にしたデータ収集をおこなっています。しかし、実際に収集したデータでは、「看護師がどう関わっているか」という内容はあまり収集できず、「患者がどう行動したか」という内容しか収集できていません。

このように研究テーマとデータの内容が乖離した場合、どのようにデータを分析すれば良いのでしょうか?あくまでデータに忠実にということはわかるのですが...、どうしたらよいのか悩んでいます。

<Aさん(学部生)より>

看護系の大学で院生を指導しています。院生の年齢や背景やレベルはまちまちですが、修士論文指導に時間がかかる点は同じです。隣の芝生は青いと言いますが、先生のところでは論文指導がスムーズに進んでいるようにみえますので質問させてください。

私の大学の修士課程では、基礎的な研究に関する講義が1年生の春になされた後は、各教員の責任で指導することになっています。学生が実際に研究を始めるのは2年生になってからで、いつも時間がありません。私は学生がとってきた1例目の分析は一緒にやりますが、2例目からは自分で同じようにやるように指導しています。ところが、いつまでも「できない」と言って泣きついてくる人がほとんどです。分析につきあいたいのは山々ですが、時間がありません。こんな状況の中で、いったいどう指導すればいいのか、と途方に暮れることがよくあります。とくに、この時期、修士論文の提出期限が近づくと、毎日院生の指導面接が入り、他のことは一切できません。

先生もお忙しくなさっているのは同じだと思いますが、どうなさっているのでしょうか?

<修論指導に悲鳴を上げるAさん(教師)より>

グラウンデッド・セオリー・アプローチについての質問募集!

このブログでは、グラウンデッド・セオリー・アプローチについてのさまざまなご質問にお答えします。詳しくはこちら

INRについて

INR連載関連データ

第1回 139号/09 Winter
第2回 140号/09 Spring
第3回 142号/09 Summer
第4回 143号/09 Autumn
第5回 144号/10 Winter
第6回 145号/10 Spring なし
第7回 147号/10 Summer なし
最終回 148号/10 Autumn
(※141・146号は臨時増刊号のため連載はお休みです)