本書の刊行を記念して、著者の戈木クレイグヒル滋子先生、岩田洋子先生、西名諒平さんによる座談会を開催しました。収録した内容は「ナーシング・トゥデイ」2014年6月号の「NT座談会・臨床の知へのアプローチ」で紹介しています。また、その後編として「質的研究を正しく学ぶために〜臨床ナースと学生が取り組む グラウンデッド・セオリー・アプローチ」をWeb上に公開しています。質的研究〜GTA を臨床の現場で活用する意義と面白さや、実際に使っていくために現場のナースと研究者それぞれに必要なことなどについて、たっぷりと語っていただきました。ぜひご一読を!

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このブログと連動するINR誌の連載を書籍化した『グラウンデッド・セオリー・アプローチ 実践ワークブック』の第2版が、『グラウンデッド・セオリー・アプローチ ─ 分析ワークブック』として、今月(2014年2月)末に刊行予定です。

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第2版では、戈木クレイグヒル滋子先生の執筆チームが初版の内容を全面的に見直し、データ分析に特化したワークブックである本書の特徴にさらに磨きをかけました。また、観察法を用いて収集したデータを分析する章も加わり、本編・別冊とも大幅に増量しています。

なお、この改訂版の刊行を一つの区切りとして、本日より本ブログでのご質問受け付けを、いったん休止させていただきます。何卒ご了承ください。

今後とも、本ブログや質的研究・GTAそして新旧の『ワークブック』に関するご意見やご感想などがございましたら、コメントしていただければ幸いです(執筆チームによる個別の回答はございませんが、内容によって、ご連絡差し上げる場合もございます)。

改めまして、これまでにいただいた多くのご質問やご意見に対し、深く感謝いたします。これらの共有によって、より多くの方々がGTAに魅力を感じ、意欲的に取り組まれることを願っています。

看護系の大学で1年生を対象に一般教養科目を教えております。(私自身は看護師ではありません。)私の教えている科目を学ぶことについて、学生の正直な意見や感想を聴きたいと考えています。できれば、そこから講義や演習をするのに役立つ一般的な概念を抽出したいとも思っています。

しかしながら、私自身がその科目の評価者であるため、インタビューで学生の本音を聞き出すのは極めて難しいと思われます。また、第三者にインタビューを行ってもらう、予算的・時間的余裕もありません。そこで、無記名の調査票であれば、より素直に学生が意見を表明できるのではないか、と考えられました。

戈木先生の本も含め、グラウンデッド・セオリー・アプローチの入門書を何冊か調べてみましたが、そのようにしてデータを収集することは想定されていないようです(文書類・新聞あるいは書物からデータを収集というものはありましたが)。

今のところの私自身の考えでは、ともかくも回答を集めてみて、必ずしも適してはいないかもしれないが、ともかくもグラウンデッド・セオリーを用いて分析してみる、うまくいかなければ、何故、うまくいかなかったかを考察して発表する、というふうに、乱暴ではあっても、まず、実践してしまうことが第一ではないか、と考えています。

しかしながら、以下のような問題があるのではないか、と思います。

  1. 文章を書く能力のある者しか回答してこないため、(量的研究でいうところの)self-selectionバイアスがかかる。
  2. 回答してきたとしても、調査者からさらに質問を重ねていくことができないため、より深い情報が得られない。つまり、リッチなデータを得ることが難しい可能性が高い。
  3. 理論的サンプリングを行って、データを増やしていくことができない。
それでも、明確な方法なしに記述を要約するよりは、より良く概念の抽出ができるのではないか、と考えています。また、KJ法等の他の質的分析方法よりは、グラウンデッド・セオリーを用いた方がより精密な分析ができる、と思われます。

そこで、自記式の調査票で得た回答者の自由記述について、グラウンデッド・セオリーを用いて分析できるのかどうか?仮にできる(無理やり実施する?)としたら、どのような点に注意すれば良いか、をご教示いただければ、と思います。

ご回答をよろしくお願いいたします。
<Kさん(看護大学教員)>

博士後期課程に在籍している社会人大学院生です。戈木先生による集中講義(ゼミ形式)を2回受講させていただいたことがあります。

博士論文では、不妊治療後の夫婦と胎児に関する研究をしたいと考えており、分析方法をストラウス版GTAとして研究計画書を作成しました。

ある指導者から、概念枠組みを作成したうえで研究を行なう必要があるのではないか、というコメントをいただきました。

そこでご質問ですが、質的研究はまだ明らかにされていない未知のことを明らかにすることに適した研究方法と言われていることから、事前に概念枠組みを作成することは計画しておりませんでした。

概念枠組みを作成した場合、その枠組みに縛られてしまうことはないか?と心配なのですが、質的研究と概念枠組みの考え方についてご教示いただけますでしょうか。お忙しいところ恐縮いたしますが、よろしくお願いいたします。
<まろんさん(大学院生)>
インターナショナル ナーシング レビュー誌での2年間にわたる連載内容と、このブログのQ&Aをまとめた本ができあがりました!

書籍化にあたって、読者がより学びやすくなるように、戈木クレイグヒル滋子先生と分析メンバーのみなさんが、心を込めてすべての内容をブラッシュアップ。

初心者はもちろん、グラウンデッド・セオリー・アプローチの独学に取り組むあらゆる方に読んでいただける、データ資料をふんだんに盛り込んだ最強のワークブックが出来上がりました! ぜひ一度、書店で手にとってみていただければ幸いです。

連載の終了にあたって

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INRの連載もついに最終回を迎えました.この連載では,実際のデータを使ってグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)の分析方法を学んでいただきましたが,いかがだったでしょうか.


GTAを特別な物だと考える人は少なくありませんが,果たしてそうでしょうか?『研究』であれば,データから概念を抽出する作業は不可欠です.GTAが他の質的研究法と違う点は,概念抽出と関係づけの緻密さが他の方法以上に重視され,そこに到達するための道筋が明示されているということだけです.どうぞ,GTAに親しんで,どんどん使って頂きたいと思います.


たまたま,この7月にJuliet Corbin先生が来日され,慶應義塾大学でも少人数に限った講演会と,ワークショップを開催させて頂くことができました.連載の最終号を書いている時期にこのようなイベントを主催できたのもなにかの巡り合わせのように思われます.


さて,2年間にわたる連載の間,連載とブログ管理がスムーズにおこなえたのは,ひとえにゼミのメンバーのチームワークと,ブログをこまめにチエックしてくださった編集部の村上さん(Mr.M)のおかげです.感謝いたします.


ブログに質問を下さったみなさまにも感謝いたします.全く異なる領域やビジネスの第一線で働く方々からの連絡には驚きましたが,同時に大きな刺激を頂きました.


年末には,この連載をまとめた本も出版されますので,今は校正で汗だくです.私がこれまでに出版したものと,この本との違いは,ワークブックとしての効力を発揮できるように練習問題を増やし,分析プロセスの全容が見えやすくなるような工夫をしたことにあります.そのために,表や図をふんだんに盛り込み,どう分析したのかという経過が分かるようにしました.連載をもとにしたものではありますが,より使いやすいものに仕上がったはずです.ぜひ,書店で手にとって頂きたいと思います.


さいごに,ブログはまだしばらく続きますので,練習問題を使った学習で疑問が生じたら,ぜひ質問してください.ゼミ生と一緒に,みなさまのとの討論を楽しませていただきたいと思います.


2010年神無月

戈木クレイグヒル 滋子

インターナショナル ナーシング レビュー誌の連載 「実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチ:現象を捉えるステップ」 第8回目掲載誌(Vol.33 No.5 : 148号)がそろそろ店頭に並びます。最終回のテーマは「カテゴリー関連図の統合と次のデータ収集に向けてのサンプリング」です。現象ごとのカテゴリー関連統合図と理論的比較、それらをもとにした理論的サンプリングについて解説しています。

誌面で掲載しきれなかった関連資料の表1はここからダウンロードして下さい(PDF)。

なお、今号では特別企画として7月に来日されたジュリエット・コービン氏の東京での講演原稿とワークショップの模様をお伝えしています(p.64)。ぜひ合わせてお読みください。
インターナショナル ナーシング レビュー誌の連載 「実践しながら学ぶグラウンデッド・セオリー・アプローチ:現象を捉えるステップ」 第7回目がいま印刷中です(通巻147号 第33巻4号 p.72-83、2010.7.1発売)

テーマは「理論化を促進するためのテクニック」です。データ分析の長い過程のなかで、自身のバイアスを減らし、データの文脈に縛られず、多角的に眺めて分析の抽象度を挙げていく作業はそれほど容易なものではありません。

そこで今回はこの作業に取り組むためのテクニック、すなわち、メモを書きながら、問いをたて、比較をするという3つのステップについて学びます。
音楽教育学の博士後期課程の学生です。グラウンデッド・セオリー・アプローチは私たちの領域にはまだ浸透していませんが、技能の習得において、その学習過程に存在する環境や他者との相互作用を解明するためにはこのような方法論に基づいて分析を進めていくことが必要だと考え、独学で本から学んでいます。

先生の著書を読み、「問いを立てる」というテクニックが気になりました。展開力がありそうなのですが、いまひとつ具体的にどう活用するのかがわかりませんので、質問させて下さい。

どんなふうに問いを立てれば良いのでしょうか? また、「問いを立てる」ことが、プロパティやディメンションを増やすのに役立つというのはわかるのですが、他にどのように分析に役立つのでしょうか?
<Oさん(音楽研究科博士後期課程)>
Oと申します。カリフォルニアの大学で学んでおり、現在修士論文の執筆中です。テーマは、大学のアカデミックカウンセラーのキャリア形成において求められるスキルは何か? を分析しています。

指導教授は、特に研究法自体にはこだわっておらず、「質的研究」ならばどのようなものでもかまわないとおっしゃるのですが(極論すれば、データを切り貼りして自分なりの分析をしたものでも)、私としては、理論化とまではいかなくとも、この研究の成果を1つのモデル、フレームワークとして完成させて、今後の日本での議論を行っていく上での土台となれればと考えています。

そこで、グラウンデット・セオリーについて書籍を読み、戈木クレイグヒル滋子先生の著作も数冊拝読し、手順そのものについては、少し理解したのですが、ここで根本的な問題に直面しています。

というのは、私の研究は、最終的にモデルとして理論化を目指していますが、ある特定の現象を分析するものではないということです。たとえば、先生の著書にありますように、「子供の死に直面した小児科の看護師に起こっていること」といった一現象ではなく、ある程度の期間にわたる業務経験の中で被インタビュー者が行ったことや・必要と感じていることを探っていくものです。インタビューデータの一部は現象となる可能性はありますが、全体としてはむしろライフヒストリーにちかいものになりそうです。

そのため、ラベル化からカテゴリー、サブカテゴリーにまとめ、セオリーとしていく過程には非常に興味があり、心が惹かれるものがあるのですが、その反面、私の研究にあっているのか悩んでいます。

現状ではインタビューは多くて12名ほどにとどまる見込みです。今回修士であることや、今後博士課程でもっと突き詰めていきたいと希望していますので、今回は、この手法を利用して自分なりに研究すること、を目標としています。

そこで伺いたいのですが、グラウンデットセオリーは、あくまで現象を捉えるものにしか適さないであって、この研究法の利用はそもそも無理があることでしょうか? また応用可能でしたら、どのような適用方法があるのかご教示いただけないでしょうか? お忙しい中大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
<Oさん(大学院生)より>

グラウンデッド・セオリー・アプローチについての質問募集!

このブログでは、グラウンデッド・セオリー・アプローチについてのさまざまなご質問にお答えします。詳しくはこちら

INRについて

INR連載関連データ

第1回 139号/09 Winter
第2回 140号/09 Spring
第3回 142号/09 Summer
第4回 143号/09 Autumn
第5回 144号/10 Winter
第6回 145号/10 Spring なし
第7回 147号/10 Summer なし
最終回 148号/10 Autumn
(※141・146号は臨時増刊号のため連載はお休みです)

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