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シリーズ【看護の知】・04

「いつもと違う」と感じ、思わず行う行為は実践の知なのか

  • 大谷則子  著
  • A5 168ページ (判型/ページ数)
  • 2020年06月発行
  • 978-4-8180-2264-5
本体価格(税抜): ¥2,400
定価(税込): ¥2,640
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日々の臨床の場は、たくさんの小さな看護の知であふれている!

看護師ならば誰もが、患者の様子になんとなく「いつもと違う」と感じ、それと同時に、状況を詳細に精査し判断するまでもなく、最善を目指して思わず行動したことがあるだろう。その行為には「その看護師固有の知が埋め込まれている」と考えた著者は、実践の「知」をめぐる探究を始め、確信を得た──看護の知はEBNだけではない。日々の実践の中に、自分でも気づかないようなたくさんの小さな知が集積しているのだと。


Ⅰ プロローグ──「いつもと違う」と感じ、思わず行う看護行為を探究する
Ⅱ 6人の看護師の「いつもと違う」と感じ、思わず行う看護行為の記述
Ⅲ 日常の看護行為に内在する実践の知
Ⅳ 「いつもと違う」と感じ、思わず行う看護行為に内在する実践の知を読み解く
Ⅴ 「いつもと違う」と感じ、思わず行う看護行為に内在する実践の知に特徴的な要素
Ⅵ 「いつもと違う」と感じ、思わず行う看護行為に内在する実践の知の発展

Appendix[付記]
Ⅰ 研究の具体的な方法
Ⅱ データ解釈における「行為的直観」の援用


入院してなんらかの治療を受けるということは、患者にとっては、人生の転機ともなりうる重大な局面であり、一人ひとりの患者と看護師との出会いには、それぞれに固有な背景や物語が存在する。私が看護師を志したのは、身内の死をきっかけに、人が生きることと死ぬことを考える職業につきたいと思ったからであった。看護師となっていくつかの病棟で勤務する中で、いろいろな患者さんと出会い、それぞれの方の人生の時間を共有させていただき、共に生きるという言葉の重みを肌で感じ取った。
博士論文を提出してから約4年の月日が経った。研究のための調査であるとはいえ、1人の看護師としてその場に立てることに喜びと緊張を覚えながらも、それぞれの患者さんの看護を考え、チームの看護師さんたちと昼食を共にしながら話し合い……私にとってはやりがいのあるとても充実した時間であった。時には、看護師さんから新人看護師教育の相談を受けたり、いっしょに急患を受け入れたり、若い看護師さんから先輩看護師との関係を相談されたり、外国語を話す患者さんとのコミュニケーションを手伝ったり、看護師さんの愚痴を聴いたりしたことも含め、1人の看護師仲間として受け入れてくださった病棟の皆さんと過ごした日々は、私の中でまったく色あせることなく鮮烈に記憶されている。今でも「あの患者さん、今もセルフケアがんばっているのかな」「あの看護師さんはまだ看護師を続けているのだろうか」と思いを巡らすことがある。
翻って、その後の私はといえば、看護基礎教育の場に戻って仕事をしつつ、調査したことを記したフィールドノーツを何度も何度も読み返し、看護実践をどう意味づけていくのか考えあぐねていた。その場・その時々の看護師さんの声や目線、患者さんの表情や姿勢、ベッド周囲にあるものの配置といったディテールも含めた状況は、いつでもリアルに脳裏によみがえってくるのに、それをどう言葉にしていくのか、そもそもこれは本当に探究したい知なのか、もやもやとした霧の中にいた。大学教員という仕事のなかで、時折学生といっしょに臨地実習で現場に出て、少し距離をおいて病棟に存在していても、看護師が思わず突き動かされて行動せずにはいられない場面に何度も遭遇し、看護師のそのような行為そのものが患者を守っているのだということは頭から離れなかった。そうして悶々とし続け、何度もつまずいたり中断したりしながら、西田幾多郎の行為的直観に出会った。「これだ」という確信とともに、私自身が思わず突き動かされるように博士論文を書き進めた。
この本は、研究参加者である看護師が「いつもと違う」という感覚を抱くと同時に、思わず行う行為に潜む知を探究したものである。その場・その時々の状況下において「いつもと違う」と感じて思わず手が出る、現場の生き生きとした看護師さんの姿を描きながらまとめた。看護師ならば一度は経験している、当たり前の日常の中にこそ、患者の生命と生活を守り、安全で安心できるケアを提供する看護師の知が存在し、その知によって患者が救われているということはないだろうか。看護師は、「いつもと違う」と感じると同時に状況を詳細に精査し判断するまでもなく、最善を目指して思わず行動する。その行為にはその看護師固有の知が埋め込まれているのだ、そう考えて看護師の知を記述することに取り組んだ。看護実践を記述し、行為的直観という難解な概念を援用してそれぞれの看護師に固有な知を見出すことについて、多くの課題が残っていることは十分に承知している。それでも、日本で生き生きと働く看護師の日常を描き、働く皆さんの力になれれば、という思いでこの本を執筆した。本書を手に取って読んでくださった方が、「明日もがんばろう」という気持ちになれる何かを感じ取っていただければ、それが著者である私の願いである。

2020年4月 大谷 則子

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