- 野嶋佐由美・渡辺裕子 編集
- A4変 152ページ (判型/ページ数)
- 2009年02月発行
- 978-4-8180-1391-9
本体価格(税抜): ¥2,500
認知症患者のケアにあたっては“本人の尊厳の保持”が重要であり、たとえ認知症になっても、できる限り住み慣れた地域で、馴染みの人間関係や居住空間で暮らしていくことが大切とされています。それは、生活をともにする「家族」の精神的・身体的健康が維持されて初めて実現するものであり、介護を担う家族の健康が阻害されれば、住み慣れた地域での生活は継続できません。
しかし、大切な人が認知症と診断され、症状が進み、言動や行動に混乱していくプロセスに直面している家族は大きな悲しみや戸惑いを受け、その上、24時間休みなく続く介護による身体的負担も加われば、家族が精神的・身体的健康を維持することはとても困難な状況となります。
そこで、本特集では、介護を担う一つの単位として、認知症患者とともに生きる家族がおかれている状況について概観し、家族としてのセルフケア機能を最大限発揮できるか、家族に対するケアのあり方を考えます。〈Overview〉では、認知症患者と家族をめぐる現状について、看護、そして社会学の視点からそれぞれ概説します。〈Point of View〉では、家族の「力」や「関係性」に着目して家族に対する看護のあり方を考えるほか、認知症にともなう行動・心理症状(BPSD)、介護ストレス、介護役割、退院支援、看取りなどさまざまな援助方法から家族ケアについて捉え、また多様な認知症患者の家族へのケアとナースのジレンマを整理します。そのほか、地域ケアにおける家族ケアについても取り上げ、認知症患者の家族へのケアを幅広く論じます。
本特集は、歴史的な視点、社会的な視点、看護的な視点、当事者の視点など、多面的な視点から、認知症患者とともに生きる家族に対して看護を論じたユニークな特集です。