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[認知症plus]シリーズ

認知症plus退院支援

一般病棟ナースのためのQ&A

  • 深堀浩樹・酒井郁子・戸村ひかり・山川みやえ 編
  • B5 192ページ (判型/ページ数)
  • 2019年11月発行
  • 978-4-8180-2218-8
本体価格(税抜): ¥2,600
定価(税込): ¥2,860
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身体疾患の治療を受ける認知症の人の退院支援に欠かせない考え方・ケア内容・支援展開がわかる!

近年、認知症の人が身体疾患の治療のために急性期病院に入院するケースが急増しています。一般病棟のナースには適切なケアを効果的・効率的に展開し、住み慣れた生活の場で認知症の人がその人なりの健康的な生活を送れるような退院支援が求められています。
本書では、認知症の人に退院支援を行う上で欠かせない知識や技術について、実践知・研究成果等を踏まえてわかりやすく解説します。明日からの看護にすぐ活かせる実践書!


第1章 認知症の人の退院支援に必要な認知症関連知識
◎一般病棟の看護が認知症の人に与える影響を知ろう
 Q1 認知症の人は入院中どのような体験をしているのですか?
 Q2 身体疾患の治療の看護で認知症を考慮しなければならない理由は何ですか?
 Q3 認知症の人にとってよい病棟での看護とは何ですか?
 Q4 地域で認知症の人の生活を支えるスタッフはどのような病棟での看護を期待していますか?
◎認知症について知ろう
 Q5 認知症とはどのような病気ですか?
 Q6 認知症の病態によってコミュニケーション方法は変わってくるのですか?
 Q7 一般病棟に入院する認知症の人にはどのような特徴がありますか?
◎認知症の人の生活を支える地域包括ケアシステムを知ろう
 Q8 地域包括ケアシステムとは何ですか?
 Q9 認知症の人の地域包括ケアシステムとはどのようなものですか?
 Q10 認知症の人の住まいにはどのようなものがありますか?
◎認知症の人の生活を支える人・活動・サービスを知ろう
 Q11 認知症の人の生活を支えているのはどのような人たちですか?
 Q12 認知症の人の生活を支える活動にはどのようなものがありますか?
 Q13 認知症の人の生活を支える公的サービスにはどのようなものがありますか?
 Q14 認知症の人が介護保険サービスを利用するにあたり介護保険の申請の流れはどのようになりますか?
 Q15 認知症の人の健康管理はどのようにすればよいですか?

第2章 一般病棟で行う認知症の人の退院支援
◎病棟で行う認知症の人の退院支援について理解しよう
 Q16 病院における退院支援のプロセスとはどのようなものですか?
 Q17 認知症の人の退院支援において一般病棟のナースは何をしますか?
◎認知症の人の退院支援の必要性を早期に判断し、退院支援に必要な情報を得よう
 Q18 認知症の人の退院支援にはどのような情報が必要ですか?
 Q19 認知症の人の話だけで状況が把握できない場合どのように情報を得ればよいですか?
 Q20 病院内外の多職種で認知症の人の情報を収集・共有するために、病院にどのような仕組みをつくればよいですか?
 Q21 認知症の人の家族と入院時にどのように関わればよいですか?
 Q22 認知症が疑われるものの診断は受けていない人に早期から退院支援を行うにはどうすればよいですか?
◎入院、治療、今後について認知症の人と家族の意向を確認しよう
 Q23 認知症の人の意向をどのように把握していけばよいですか?
 Q24 認知症の人の家族の意向をどのように確認していけばよいですか?
◎多職種で情報を共有し、退院後の問題の特定や退院支援の方向性を検討しよう
 Q25 認知症の人の退院後の問題の特定や退院支援の方向性を検討する際にどのようなことに留意して多職種でアセスメントすればよいですか?
 Q26 認知症の人が入院すると退院後にどのような問題が起こりやすいですか?
 Q27 認知症の人の退院先や退院支援の方向性を検討する際に留意することは何ですか?
◎認知症の人や家族の合意を得て退院支援計画を立案しよう
 Q28 退院先や退院後の生活について認知症の人や家族とどのように合意を形成していけばよいですか?
 Q29 認知症の人と家族の意向が異なる場合はどうすればよいですか?
 Q30 認知症の人や家族の意向と病院スタッフの考える方針に相違がある場合はどうすればよいですか?
 Q31 認知症の人や家族と合意形成した内容に基づく退院支援計画書はどのように作成すればよいですか?
◎認知症の人の入院目的である疾患の治療を進めよう
 Q32 認知症の人の疾患の治療を効果的に行うためにナースが行うことは何ですか?
 Q33 認知症の人の疾患の治療を効果的に行うためにチームで行うことは何ですか?
 Q34 認知症の人に治療上必要な処置を行う場合にナースが心がけることは何ですか?
 Q35 認知症の人の治療中に生じる苦痛を緩和するためにナースが行うことは何ですか?
◎認知症の人の生活機能を維持しよう
 Q36 入院中に生活機能を維持すると認知症の人にどのような効果がありますか?
 Q37 入院中に認知症の人に食事を摂ってもらうためにはどのような工夫ができますか?
 Q38 入院中に認知症の人が心地よい排泄をするためにはどのような工夫ができますか?
 Q39 入院中に認知症の人の身だしなみを整えることにはどのようなが効果ありますか?
 Q40 認知症の人の病棟での過ごし方を充実させるためにはどのような工夫ができますか?
 Q41 認知症の人に病棟で十分に休息をとってもらうことにはどのような効果がありますか?
 Q42 認知症の人が心地よい睡眠を得るためにはどのような工夫ができますか?
◎認知症の人の入院中の安心と安全を保障しよう
 Q43 認知症の人の安心と安全を保障する倫理的配慮とは何ですか?
 Q44 認知症の人が安心できる環境を病棟でつくるにはどうすればよいですか?
 Q45 入院中の認知症の人の安全を確保するためにできることは何ですか?
 Q46 認知症の人の点滴自己抜去を防ぐにはどうすればよいですか?
    実際に自己抜去が発生した場合にはどうすればよいですか?
 Q47 認知症の人の転倒・転落を防ぐにはどうすればよいですか? 
    実際に転倒・転落が発生した場合はどうすればよいですか?
 Q48 認知症の人に離棟・離院の可能性がある場合にはどうすればよいですか?
 Q49 認知症の人の入院中の事故予防の手段として身体拘束を行うことは有効ですか?
 Q50 身体拘束をすることで認知症の人にどのような悪影響がありますか?
コラム 裁判例から見る身体拘束に関連する法的責任
◎退院後の生活に必要なことを考えよう
 Q51 認知症の人の病棟での看護・治療・ケアをどのように退院後の生活につなげていけばよいですか?
 Q52 認知症の人の退院後に必要となる医療管理やケアが確定した段階で留意することは何ですか?
 Q53 認知症の人や家族に必要な医療管理やケアの指導が確定した段階で留意することは何ですか?
◎地域での生活が円滑に送れるように病院内外の多職種で取り組もう
 Q54 認知症の人に適した医療・福祉制度やサービスの利用を検討・導入する際に留意することは何ですか?
 Q55 認知症の人が入院中に要介護認定調査を受ける際に留意することは何ですか?
 Q56 認知症の人の退院に向けて地域の医療・介護・福祉スタッフとどのように連携すればよいですか?
 Q57 認知症の人に対して病棟ナースがどのように訪問看護の必要性を判断し導入を進めていけばよいですか?
 Q58 退院後に独居となる認知症の人にはどのようなことに留意して退院支援を行えばよいですか?
 Q59 認知症の人の退院後の療養環境の準備はどのように進めればよいですか?
 Q60 認知症の人の退院前カンファレンスにおいて話し合う内容や留意することは何ですか?
◎認知症の人や家族の地域での生活のスタートを支援しよう
 Q61 退院が近くなって家族が退院後の生活を不安がるようになりました。
   どのように退院支援を行えばよいですか?
 Q62 終末期癌の認知症の人が自宅退院を希望しているのですが、家族は不安が強いです。
   どのように退院支援を行えばよいですか?
 Q63 同じ病気や病状で再入院を繰り返す認知症の人がいます。
   どのように退院支援を行えばよいですか?
 Q64 認知症の人の退院後の生活支援に役立つ退院時の看護サマリーとはどのようなものですか?

第3章認知症の人の退院支援の充実に向けて
◎認知症の人の退院支援を充実させた実例を知ろう
 Q65 認知症の人の退院支援が充実している病院はどのような取り組みをしてきたのですか?①
 Q66 認知症の人の退院支援が充実している病院はどのような取り組みをしてきたのですか?②
◎認知症の人の退院支援の充実に取り組もう
 Q67 認知症の人の退院支援をどのように充実させていけばよいですか?①
 Q68 認知症の人の退院支援をどのように充実させていけばよいですか?②
◎認知症の人の退院支援に関連する政策を知ろう
 Q69 日本では認知症の人のケアの充実のためにどのような政策を立てていますか?
 Q70 世界では認知症の人についてどのような政策がありどのようなケアが行われていますか?
◎認知症の人の退院支援に使える新しい取り組みを知ろう
 Q71 認知症の人の生活支援に期待できるテクノロジーにはどのようなものがありますか?
 Q72 認知症の人の生活支援につながる地域での新しい取り組みにはどのようなものがありますか?①
 Q73 認知症の人の生活支援につながる地域での新しい取り組みにはどのようなものがありますか?②


はじめに

超高齢社会を迎えた日本において、一般病棟への入院が必要となる認知症の人が増加しています。2019年6月に公表された認知症施策推進大綱では、2018年時点で認知症の人の数は500万人を超え、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であるとの推計が示されています。また、日本総合病院精神医学会認知症委員会が2014年に6病院を対象にして行った調査によると、日本の一般病棟に入院している65歳以上の患者のうち、認知症の人は最大で52%になると推定されています。以上から現在の日本の一般病棟において認知症の人の看護は必須となったといえるでしょう。
 日本老年看護学会が2016年に発表した「『急性期病院において認知症高齢者を擁護する』日本老年看護学会の立場表明2016」では、急性期病院に勤務する看護職が「治療優先の環境のもとで認知症高齢者本人を擁護する」ことや「治療後の回復像に基づく生活像を家族と共有して早期退院を目指す」ことが表明されています。これらの目標を一般病棟のナースが達成するためには、目の前にいる認知症の人の状態だけでなくその人の地域での生活を見据え、認知症の人のよりよい退院後の生活を実現しようとする“強い意志”、認知症や認知症の人を支えるシステムについての確かな知識に裏打ちされた“実践力”の両方が必要です。本書はこの2点を一般病棟のナースが高められるように企画しました。
 本書の編者および執筆者は、老年看護、認知症ケア、退院支援、リハビリテーション、看護管理、家族看護など、各々異なる専門領域を持ち、一般病棟、入退院支援部門、訪問看護、教育・研究機関など多岐にわたる場所で認知症の人のよりよい生活の実現に尽力してきました。これらの編者・執筆者の手による本書は、「認知症の人が急増している日本の一般病棟や退院先となる地域で蓄積されている実践知」と「認知症への世界的な関心の高まりとともに国内外で急速に増えている研究成果や先駆的実践」をバランスよく学ぶことができる内容になりました。
 本書は3部構成としています。
「第1章 認知症の人の退院支援に必要な基礎知識」では、入院という経験が認知症の人に及ぼす良い影響と悪い影響を一般病棟のナースが改めて認識したうえで、認知症に関する知見、認知症の人の生活を支える地域包括ケアシステムやサービスの詳細といった基礎的な知識を幅広くかつ現場に即して学ぶことができる内容としました。認知症の人の生活を支える地域の人・活動・サービスは多岐にわたり、臨床経験の中で接してはいても十分には理解していないものもあるでしょう。これらをより深く理解することで、認知症の人の退院支援の充実につながることを期待しています。
「第2章 一般病棟で行う認知症の人の退院支援」では、病院内外の多部門・多職種の協力・連携により行われる認知症の人の退院支援において一般病棟のナースが特に果たすべき役割、つまり「入院中のケア提供に責任を持ち、他職種と協働してできる限り円滑に療養の場を移行すること」に必要な内容を時間軸に沿って示しました。他職種と協働して行う「情報収集・状況の把握」、「意向の確認」、「問題の特定」、「退院支援計画の立案」や、一般病棟のナースが主要な責任を持つ、「入院目的である疾患の治療」、「生活機能の維持」、「安心と安全の保障」を同時に行っていくための専門・認定看護師を含む臨床看護師によるケアについての実践知が豊富に含まれています。この章の内容を、読者の皆さんが自身の病棟で活用し実践していくことでよりよい退院支援の実現につながるでしょう。
「第3章 認知症の人の退院支援の充実に向けて」では、退院支援を発展させてきた病院の経験、日本と世界の認知症に関する政策の発展過程と現状、日本における最新の研究や新しい実践的な取り組みについて紹介しています。超高齢社会を迎えた日本のナースが認知症の人を擁護していくためには、日進月歩の認知症ケアに関する知見や次々と打ち出される施策・先駆的実践の動向を理解しておくことが必要不可欠です。それらの知見や動向の理解を活用して、読者の皆さんが各々の現場で認知症の退院支援の充実のためのさまざまな変革に組織的に取り組み、ナースが主体的に認知症の人の退院支援を行うことができる病棟・病院をつくりあげられることを期待しています。
 また、本書は多忙を極める一般病棟のナースの皆さんが、関心のある内容を選び短時間で効率的に読み進められることを期待してQ&A形式としました。もちろん、最初から順番に読むことで、認知症の人の退院支援に必要な知識・技術を網羅的に知ることもできるでしょう。本書が一般病棟のナースに広く活用され、認知症の人の退院後のよりよい生活に役立つことを願っています。
 最後に、編者に劣らない情熱をもって本書の企画に携わり、専門性が異なる4名の編者と多数の執筆者の原稿の編集にご尽力いただいた日本看護協会出版会の宮内絢子さんに心より感謝申し上げます。

2019年11月
深堀浩樹・酒井郁子・戸村ひかり・山川みやえ

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