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中医看護の自然生命理論

  • 呉小玉 著/安達勇・小玉城 医学監修
  • B5 176ページ (判型/ページ数)
  • 2020年10月発行
  • 978-4-8180-2285-0
本体価格(税抜): ¥3,000
定価(税込): ¥3,300
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中国の“天人相応”思想を基にした「中医看護」を解説。“目から鱗が落ちる”ホリスティックな看護書が誕生!

今日、看護が対象とするのは「病人(患者)」にとどまらず「生活をする人」です。そこで役立つのが「人間と自然の統一と調和」を最終目標とする中国の“天人相応”思想をベースとした「中医看護」の理論。より具体的な「自然の陰陽五行の変化に相応した五臓六腑・経絡・気血水」「治未病」「三因制宜」などの考え方からは、“その人全体”をみて、どのようにケアをすればよいかのヒントが得られます。あなたの看護観にプラスαの視点が加わる、まさに“目から鱗が落ちる”看護書の誕生です。


序論 中医看護の自然生命理論からユニバーサル自然看護モデルへ

①中医学・中医看護の普及が必要な理由
②「天人相応」という思想から築いた理論と中医学の重要な法則
③徐々に広まる日本の看護教育における漢方医学
④欧米でも注目される中医学・中医看護の技術
⑤中医看護の基本的考え方と導いた先人たち
⑥中医看護の思想を現代看護につなげる


第一部 「中医看護」の自然生命理論

第1章 中医看護の誕生
①「中医」の意味
②『黄帝内経』――歴史上、最初の医学書の誕生
③『黄帝内経』における「天人相応」の思想

第2章 「天人相応」の誕生の背景と構成
①人間の生命と自然との関係を統一的にみる「天人相応」
②「天」(=自然)の変化を表す「太極図」の形成
③「二十四節気」という自然変化の構成内容
④自然運動の法則に基づいた「五行説」の構成
⑤「太極」「陰陽」「五行」の関連
⑥中医看護における「陰と陽」の位置づけと意義

第3章 「天人相応」思想に基づく宇宙観で人間を理解する
①自然と生命を「天人相応」として把握する
②人間の生命は宇宙と自然の不可欠な一部

第4章 生命を理解する中医看護の主な概念と要素
①「天人相応」の意義
②「陰陽五行説」の意義
③自然における「五運六気」と健康の関係
④「天人相応」と健康目標との関係

第5章 中医看護における人体構造の理論
①「自然との一体性」をもとに生理機能や病理変化をみる
②「五臓六腑」の学説
③「経絡」の学説
④「気」「血」「水(津液)」の学説
⑤五臓六腑・経絡(経穴)・気血水の関係性


第二部 「中医看護」の活用

第1章 日常生活の看護
①季節の変化に相応する看護実践
②陰陽変化を活用した看護

第2章 身体の内部環境と外部環境を統合する看護
①「五臓六腑一体観」に基づく看護実践の展開
②「形神一体観」の考えに基づく看護実践の展開

第3章 中医の「処方」の意味から考える自然方位的な看護実践
①中医における「処方」の意味
②時間の流れを考慮した看護実践のために
③陰陽バランスを考えた「食事」と「睡眠」
④自然方位的看護実践で重要になる要素

第4章 中医看護の実践の基となる2つの重要な要素
①「治未病」と中医看護
②「三因制宜」と中医看護

第5章 文化・国際・災害に関わる視点と中医看護の展開
①時間・空間・方位の関係から考える文化と看護
②宇宙規模の概念から考える「国際看護」の実践
③地域の陰陽関係(内外)とエンパワメントの概念から考える「災害看護」
④“隔たり”を取り除く中医看護の力


第三部 「中医看護」の理論から導いたユニバーサル自然看護モデル

第1章 中医看護理論と人間・自然・健康・看護に関する重要な概念
①中医看護と現代医学の違いを検証する
②「陰陽バランス」と「時間・空間・方位」の活用

第2章 「ユニバーサル自然看護モデル」の提唱
①四層で構成される「ユニバーサル自然看護モデル」
②「ユニバーサル自然看護モデル」に影響を与えた学説と思想
③「ユニバーサル自然看護モデル」用語の定義
④人間と自然を調和する「ホリスティックな看護」の視点

第3章 「ユニバーサル自然看護モデル」の意義
①「中庸の道」に従うことで見えてくるもの
②時間・空間・方位の立体的な視野でグローバルに地域や人間を理解できる
③プライマリ・ヘルス・ケアとユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現をつなぐ

第4章 なぜ「天人相応」を人類の健康の最高目標にするのか
①「天人相応」に到達するために必要なもの
②「天人相応」に達するための3つの課題
③「ユニバーサル自然看護モデル」の看護実践とは
④ナイチンゲールの学説と「天人相応」学説の暗合


結語 中医看護と自然の調和による健康と国際平和の実現
①自然に発生した“外邪”を避けることで“健康”を保持する
②「国際平和」も“看護”に期待される大きな役割
③すべては「陰陽のバランス」から始まっていく


本書では「中医看護」の自然生命理論を紹介し、そこから「ユニバーサル自然看護モデル」に論を展開している。
 まず、「中医看護」とは何か? それは文字通り「中医学」に基づいた看護学である。そして、この「中医看護」の自然生命理論には核心となるキーワードがある。それは「天人相応」である。

 現存する中国最古の医学書といわれ、人間の生命過程を自然変化の法則と緊密に一体化して解説している『黄帝内経』において、「天人相応」は下記のように解説されている。

 「人以天地之気生、四時之法成」――人は天地の気によって生じ、四時(春夏秋冬)の法則によって成る。そのため、「順四時而活寒暑」(四時に順応し、寒暑に適応する)ことで、初めて「故能形与神倶、尽終其天年、度百歳乃去」(故に形[身体]と神[精神・心理]と倶くにして、自然の寿命を終え、百歳をこえてのち去る)。

 したがって、中国における医療・看護の原則は、生命過程を「法於陰陽、和於術数」(陰陽[自然法則]に則り、養生術に和する)として理解する。つまり、自然が変化すれば、人間の生命過程もその変化とともに変化する。自然界の変化は「陰陽の法則」によって発生しているため、陰陽に則って起居し、陰陽変化の術数に合わせて調和するという自然生命観が大切にされているのである。

 自然万物は常に変化し続ける――これが宇宙の本質である。そのため「ものごと」はすべて変化の中でとらえなければならない。一方、看護学の対象者は、従来の「病人(患者)」から「生活している人」として認識されてきている。そして、人は自然環境の中に生活しているため、人の内的環境だけではなく、外的環境である「自然」にも注目しなければならない。その自然という環境には「文化」もあり、「社会」もある。さらには、他の人も含めて「自然」というものがあることを視野に入れる必要がある。

 今までの医学モデルは「生物医学モデル」であったが、1970年代から「生物・心理・社会を含めた医学モデル」に転換されてきた。世界保健機関(WHO)は「健康」を「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう」(WHO憲章前文:日本WHO協会仮訳)と定義している。つまり、人間は身体・精神・社会の複合的な問題からなり、それぞれの側面における対処をするだけでなく、「統合的に人間をみる必要がある」と指摘しているのである。

 振り返って「中医看護」では、「人」を中心にみるだけではなく、人を自然万物の恵みとして、自然の一部分としてみる必要があることを強調しており、「形神一体」と「天人相応」を大切にしている。
 「形神一体」は形(身体)と神(精神・心理的要素)であり、「天人相応」は天(自然および、その中含まれる社会・文化など)と人(形神一体とする人間)である。中医看護では、人間の主体は、形と神の一体化、人と自然の一体化であるため、現代医学モデルでいう「生物・心理」を、「形・精神・心志(意思)」という人の内部環境と「社会・文化・人間を含む自然」という人の外部環境として捉えている。その考え方は、人間の主体や枠組を明確にしないかぎり、自然との調和という「天人相応」を理解することは難しい。

 さらに、中医看護の持つ「陰陽理論」で人間の身体・精神・社会性と「天人相応」についてまとめてみよう。
 「身体・精神」は人の内部環境であるため、“陰”の要素である。一方、社会・文化的要素を含めた「自然」は人の外部環境になるため、“陽”の要素である。中医看護では、この「陰陽二要素」で健康を分類する。そして、陰陽の調和、つまり内部環境と外部環境のバランスを調和することで人間を健康に導く。この人体の内部環境と外部環境のバランスの「整体観」こそ、生命と自然が同調する「天人相応」のことである。

 健康とは「平常」と「中和」を保つ状態である。つまり、人は自然変化の軌道に乗って「自然」に存在している自分自身・社会・文化・人類と同調すること、そして自然との調和のとれた状態が最も重要なポイントであり、それこそが「天人相応」の状態になるのである。

 即ち、病気とは「自然の軌道から逸脱した状態」である。病気の原因は、大きく2つの側面に分けられる。外部環境として「自然の変化」があり、内部環境として「情緒(喜・怒・哀・楽・悲・恐・驚)のコントロール」と「自然の法則に従っていない生活習慣」がある。そのため、病気にならないためには「自然の軌道」に乗っていくことが重要になる。
 『黄帝内経』では「聖人不治已病治未病」と書かれている。これは「聖人は已に病みたるを治さず、未だ病まざるを治す」ということである。つまり、疾病が発生してしまってから治療を受けることがないように、「天人相応」の軌道に乗って“未病”を保つことが大切とされている。これが「天人相応」の自然生命理論である。

 本書では、第一部で「中医看護」の理論を解説し、「人の生命はどのように“天人相応”を求めるか」を明らかにしていく。第二部では、その過程において、実際の「看護実践」の要素等を紐付けている。そして第三部において、「中医看護」を基にした新たな「ユニバーサル自然看護モデル」を提唱している。
 看護職はもちろん、健康領域に携わる人、そして自分の健康に関心ある地域住民など、今を生きる全ての人々に読んでいただければ幸いである。

令和2年9月

呉 小玉 Wu Xiaoyu

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