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エンド・オブ・ライフ期における皮膚障害のケア

トータルペインを増強させないケアの工夫

  • 祖父江正代 編
  • B5 272ページ (判型/ページ数)
  • 2021年05月発行
  • 978-4-8180-2338-3
本体価格(税抜): ¥3,900
定価(税込): ¥4,290
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皮膚障害がある「人」を看て、オーダーメイドのケアを

エンド・オブ・ライフ期にある人にとって、皮膚障害による痛みは他の病期よりも強く、この時期特有のトータルペインを増強することにもつながります。一方、皮膚障害のケアには痛みが伴うため、積極的にケアを行うか、症状緩和を優先すべきかに悩む看護師も多いといわれます。患者の苦痛を和らげるために、その人の状況に合わせてケアを工夫することが必要です。

本書はエンド・オブ・ライフ期にある人の心身の特徴に合わせた皮膚障害のケアについて解説しました。がん、心不全、脳卒中、認知症などさまざまな疾患のケアに役立つ一冊です。


第1章 エンド・オブ・ライフ期における患者および家族の心身の特徴とケア
 エンド・オブ・ライフ期の患者の経過と特徴(がん/非がん)
 エンド・オブ・ライフ期にある患者のトータルペイン(全人的苦痛)
 エンド・オブ・ライフ期にある患者の家族の心身の特徴と必要なケア
 エンド・オブ・ライフ期における皮膚障害発生が患者や家族に及ぼす影響


第2章 エンド・オブ・ライフ期のアドバンス・ケア・プランニング
 エンド・オブ・ライフ期のアドバンス・ケア・プランニング

第3章 エンド・オブ・ライフ期の皮膚障害に対する倫理的視点に基づいたケア
 倫理原則とエンド・オブ・ライフ期に起こる問題、倫理的視点に基づいた皮膚障害のケア  

第4章 エンド・オブ・ライフ期に起こりやすい皮膚障害とケア
 エンド・オブ・ライフ期の皮膚状態  
 エンド・オブ・ライフ期に起きやすい皮膚障害
 エンド・オブ・ライフ期のスキンケア  

第5章 疾患別にみるエンド・オブ・ライフ期の皮膚障害に対する予防と発生後ケア
【PartⅠ がん・肝硬変・肝不全】
 エンド・オブ・ライフ期のがん患者の心身の特徴 
 腹部膨満感がある肝不全・肝硬変患者の褥瘡ケア 
 痛みがあるがん終末期患者の褥瘡ケア 
 全身倦怠感があるがん患者の褥瘡ケア 
 せん妄があるがん患者のスキン-テアのケア
 がん患者の失禁関連皮膚炎のケア 
 がん患者のがん性皮膚潰瘍のケア 

【PartⅡ 心不全・慢性呼吸器疾患】
 エンド・オブ・ライフ期の心不全患者の心身の特徴 
 心不全・呼吸不全患者の褥瘡ケア 
 心不全患者のスキンテア  
 呼吸不全患者の医療関連機器圧迫創傷のケア

【PartⅢ 脳卒中】
エンド・オブ・ライフ期の脳卒中患者の心身の特徴
四肢関節拘縮がある患者の褥瘡ケア  
麻痺がある患者ののスキン-テアのケア 
脳卒中患者の失禁関連皮膚炎のケア 

【PartⅣ 認知症・老衰】
エンド・オブ・ライフ期の認知症・老衰患者の心身の特徴 
老衰患者の褥瘡ケア  
認知症患者の褥瘡ケア 
認知症患者のスキン-テアのケア 
認知症患者の失禁関連皮膚炎のケア


はじめに


 近年、QOD(quality of death)という考え方が普及しつつあります。死が遠いときには、人生・生活の質であるQOL( quality of life)を向上する医療が求められますが、死が差し迫ったときには、その人らしい尊厳のある死を視野に入れたQOD を高める医療が求められるようになってきました。
 質の高いエンド・オブ・ライフを実現させるためには、患者さん・利用者さんのトータルペイン(身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペイン)の緩和に加え、その人の価値観や生活習慣、大切にしてきたことについて知り、患者さん・利用者さんと一緒に最善の医療を検討・決定していく必要があります。
 この考え方はエンド・オブ・ライフ期にある患者さん・利用者さんの皮膚障害予防・発生後ケアにおいても取り入れる必要があると思います。患者さん・利用者さんが抱えるトータルペインや皮膚障害発生のリスク、創の評価に加えて、その人の価値観や生活習慣、大切にしてきたことについても把握し、患者さん・利用者さんと一緒に皮膚障害予防・発生後ケアの目標や方法を検討・決定するといった、質の高いエンド・オブ・ライフを送ることができるような支援が求められます。
 また、エンド・オブ・ライフ期の皮膚障害予防・発生後ケアでは、一般的に良いと言われている標準的ケアが、ときとして患者さん・利用者さんの苦痛を増強させる危険性もあるため、その人の苦痛を増強させてしまわないよう、ケアの工夫が必要になります。医師や看護師、各分野の認定・専門看護師、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、呼吸サポートチーム、認知症サポートチームなど皆で知恵を出し合い、患者さん・利用者さんの苦痛を増強させないケアの提供が大切と考えます。
 今回、各疾患の専門家の方にご協力いただき、QOD を高めるために必要となるアドバンス・ケア・プランニングをはじめ、エンド・オブ・ライフ期の心身の特徴、患者さん・利用者さんのトータルペインの緩和と価値観や大切にしていることを取り入れた皮膚障害予防・発生後ケアについて紹介いただきました。
 エンド・オブ・ライフ期では患者さん・利用者さん個々によって最善となる医療やケアは異なりますが、本書がこれからのエンド・オブ・ライフ期の皮膚障害予防・発生後ケアの一助になると幸いです。
 さいごに、本書の制作、発刊にご協力いただきました執筆者の先生方、出版社の方々に深く感謝いたします。

2021年5月
祖父江正代

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