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ネガティブサポートからポジティブサポートへ NEW

事例で見る 医療&ケアの〈望ましい〉言葉と関わり方

  • 木村美也子 著
  • 四六 144ページ (判型/ページ数)
  • 2025年04月発行
  • 978-4-8180-2924-8
本体価格(税抜): ¥1,800
定価(税込): ¥1,980
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その「よかれ」、逆効果になっているのかも?
患者の4~5人に1人が医療者の言動を不快に感じ、相談をやめている?!

医療者による関わり(言動)は、患者・家族の心身の状態や健康行動に少なからぬ影響を及ぼします。時に「よかれ」と思っての行為が逆効果になることも。
対策は、まずそうした現状を知る・自覚すること、そして、正しく意図が伝わるよう変換する術を身につけることです。
本書では、著者の調査研究で得られた言説をもとに、患者らがどのような言動に傷つくか、エンパワメントされるかを対比させつつ具体的に示し、どうすれば正しく伝わるかを分析します。
自身の対応を振り返る、あるいは自信をもって継続することにつながるほか、他職種による不適切な対応の場面に遭遇したときにどうフォローすればよいかを考える糸口にもなります。


I その言動(サポート)、正しく伝わっていないかも?
 1)ポジティブな意味の「サポート」が「ネガティブ」に受け止められてしまうとき
 2)医療者の言動が「ネガティブ」に受け止められてしまう背景
  (1)医療・ケアの現場における「ネガティブサポート」の特徴
  (2)「ネガティブサポート」抑制の難しさ
 3)医療者のネガティブサポートに着目する意義

II 意図を正しく伝えるには?
 1)型どおりの対応になっていませんか?
 2)先入観を持って対応していませんか?
 3)「わかっていて当然」との思いで接していませんか?
 4)病や障害に対するネガティブな考えが言動に出ていませんか?
 5)「がまんするのが当然」だと思っていませんか?
 6)訴えの軽視・拒否につながる言動を示していませんか?
 7)わずらわしさが表れていませんか?
 8)適度な距離を保てていますか?
 9)相手の背景にまで配慮できていますか?
 10)医療者側の都合最優先、のようになっていませんか?
 11)医療者間で意見を統一して対応していますか?
 12)「上から目線」になっていませんか?
 13)無意識のうちに壁を作っていませんか?
 14)医療者の言葉で相手が受けるショックを想像できていますか?

III 医療者の「望ましくない」「望ましい」言動―これまでとこれから―
 1)望まれる変化
 2)患者の権利意識の高まり
 3)医療者および医療者を取り巻く環境
 4)医療・ケア従事者の努力が希望に


はじめに

 コミュニケーションの難しさは,読者の皆様も一度は感じられたことがあると思います。「よかれ」と思っての言動でも,それが自分の意図したように相手に伝わらないこともありますし,好意的に受け止められないこともあるでしょう。これが本書でご紹介する「ネガティブサポート」の典型ですが,医療・ケアや健康支援の現場では,医療者のサポートを意図したせっかくの言動が,患者やその家族に正しく伝わらず,逆効果になってしまうことが非常に多く見られます。これは,患者やその家族にとってだけでなく,医療者にとっても,きわめて残念なことだと思います。

 筆者自身も,社会におけるさまざまな場面でネガティブサポートを体験してきましたが,時にそれは「生きづらさ」を感じるほどのものでした。また,医療機関におけるネガティブサポートに関して言えば,「なぜ患者の立場になって,その気持ちを理解してくれないのだろう」と,かつては大いなる不満を抱いていました。
 けれども,自身が研究者となり,かつ医療者の教育に携わるようになって,医療者自身が望ましいと考える方向性や求められていると思っている対応と患者のニーズが異なる場合もある(その場合,医療者は正しいことをしているという認識があるため,ネガティブに受け止められることを想定しにくい)ことに気づきました。また,そもそもネガティブサポートについて知る機会がない,という背景も見えるようになりました。さらに,自身もそうした行為に及んでいるかもしれないことを,知りたくない,認めたくないという医療者の思いも感じることがありました。
 筆者は,助産師・看護師である知人から,「私はネガティブサポートなんて一度もしたことがないから,全くわからない」と言われ,大変驚いたことがあります。ネガティブサポートは,「さあ,しよう」としてするものではなく,本人が無自覚に行っているものであり,相手がネガティブに受け止めたときに生じるものであることから,相手の気持ちを100%見通せない以上,「していない」と完全否定することはできません。また,可能性を完全否定してしまうと,せっかくの改善のチャンスも断ち切られてしまいます。

 毎年,医療機関では多数のヒヤリ・ハットが報告されていますが,それらを正直に報告し,情報共有することで,重篤な事故を未然に防ぐことが可能となります。自分は生涯,ヒヤリ・ハットなど起こすわけがない,と否定するよりも,「自分にも起こりうること」として注意することがリスク回避につながると思います。同じように,ネガティブサポートも,多くの例を情報共有し,「誰にでも起こりうること」と意識することで,発生が抑制されると筆者は考えています。

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