ナイチンゲールのマネジメント考　組織管理者としての責任

井部俊子・伊藤收・和住淑子・高橋美紀・関山伸男・湯原淳平・餅田敬司・高橋美智著
四六 128ページ (判型/ページ数)
2022年09月発行
978-4-8180-2531-8

ナイチンゲールから学ぶ看護管理の真髄

ナイチンゲールが現場で看護実践を行ったのは、ハーレイ街病院およびクリミア看護婦人団の看護監督のわずか2年半でしたが、その短期間で彼女は看護管理者としてめざましい成果を上げました。ナイチンゲールは自身の著作の中で、管理の重要性や管理者に必要な資質について繰り返し言及しています。
本書では、『看護覚え書き』などいくつかの作品を通して彼女のマネジメント論を読み解くとともに、現代の看護管理者はそれらをどう活かせるかについて考察しました。

目次序文

ナイチンゲールと看護管理…井部俊子
『看護覚え書き』を中心に看護管理を論考する…伊藤收
ハーレイ街病院の再建レポートから読み解くナイチンゲールの看護管理…和住淑子
「女性による陸軍病院の看護」「救貧院病院における看護」から読み解くナイチンゲールの組織管理論…高橋美紀
ナイチンゲールから学ぶ経営論──病院経営の視点から…関山伸男
経営コンサルタントが考える「ナイチンゲールの目」…湯原淳平
Ｘ看護を支配するもの──［ナイチンゲール（Ｎ）＋ドラッカー（Ｐ）］×マネジメント（Ｍ）＝未来　ＮＰＭ＝Ｘ…餅田敬司
［コラム］「近代看護管理」の創始──看護管理の原理とは…高橋美智

フローレンス・ナイチンゲールが実際に現場で看護実践を行ったのは、ロンドン・ハーレイ街の慈善病院での看護監督およびクリミア戦争時の看護婦人団総監督のわずか2年半でした。しかしそのわずかな期間で、ナイチンゲールは看護管理者としてめざましい改革を成し遂げ、大きな成果を上げました。
経営破綻に陥っていた慈善病院では、徹底した効率化を進めて経営状況を向上させ、強力なリーダーシップでスタッフを引っ張り、職場の士気を高めました。クリミア戦争では、旧態依然とした陸軍組織を相手に、綿密な戦略と粘り強い交渉力で劣悪状態にあった兵舎病院の衛生状況を著しく改善し、兵士の死亡率を大きく減少させました。クリミア戦争後に強靭な意志をもって挑んだ陸軍の改革では、的確な状況判断力と交渉戦術を駆使して陸軍上層部に対峙し、改革に後ろ向きだった軍を動かしました。生来有していたリーダーの資質に加えて、広い教養と学識（特に統計学）、そして社会的地位のある人との人脈を最大限に活用し、彼女は事を成し遂げたのです。
ナイチンゲールは自身の著作の中で、マネジメントの重要性や管理者に必要な資質について、繰り返し述べています。本号では、ナイチンゲールの代表的著作を通して、彼女の組織管理論・経営論・リーダー論などを読み解くとともに、私たちはそれらを現代にどのように生かしていけるのかについて考察しました。（編集部）

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